豪華な衣装や重厚な宮廷セット、壮大な戦闘シーンなど、韓国の時代劇ドラマには多彩な魅力があります。なかでも人々の心を掴むのは、歴史上の偉人や王族、英雄たちの生き様が描かれる点です。エンターテインメント性と史実の融合によって、視聴者は歴史ドラマを通じて当時の社会や文化に関心を深めることができます。
本記事では、韓国の時代劇ドラマに頻繁に登場し、その後世に大きな影響を与えたとされる歴史上の有名人を20名ピックアップしました。それぞれの功績やドラマでの描かれ方を簡単にまとめてご紹介します。登場するドラマ作品もあわせて触れていますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
もくじ
- 1 1. 世宗(セジョン)大王
- 2 2. 李舜臣(イ・スンシン)将軍
- 3 3. 善徳女王(ソンドクヨワン)
- 4 4. 明成皇后(ミョンソンファンフ)/閔妃(ミンビ)
- 5 5. 장금(チャン・グム)/大長今(テジャングム)
- 6 6. 広開土大王(クァンゲトテワン)
- 7 7. 太祖(テジョ) /李成桂(イ・ソンゲ)
- 8 8. 金庾信(キム・ユシン)
- 9 9. 張禧嬪(チャン・ヒビン)
- 10 10. 肅宗(スクジョン)
- 11 11. 許浚(ホ・ジュン)
- 12 12. 洪吉童(ホン・ギルドン)
- 13 13. 奇皇后(キ・ファンフ)/(スンニャン)
- 14 14. 眞興王(チヌンワン)
- 15 15. 崔瑩(チェ・ヨン)
- 16 16. 李芳遠(イ・バンウォン)/太宗(テジョン)
- 17 17. 鄭道伝(チョン・ドジョン)
- 18 18. 荘献世子/思悼世子(サドセジャ)
- 19 19. 申師任堂(シン・サイムダン)
- 20 20. 哲宗(チョルジョン)
- 21 人気の人物が登場するドラマに共通する魅力
- 22 まとめ
1. 世宗(セジョン)大王
- 史実の功績: 朝鮮王朝4代王。ハングル(訓民正音)の創製や学問・文化振興で知られる。
- 登場ドラマ: 『根の深い木』など
- ドラマでの人物像: 優れた学者肌でありながら王としての責任に苦悩する姿が描かれる。ハングル普及を通じて民衆のために尽くす“理想の君主”像が魅力。
数々のドラマや映画に登場している世宗(セジョン)大王。『根の深い木』(2011年、SBS)でハン・ソッキュ(青年期:ソン・ジュンギ)が演じていたのが印象的です。
韓国の国民的英雄No.1。南極観測基地の名が「世宗基地」だったり、海軍に世宗大王級駆逐艦(イージス艦)があったり、行政中心複合都市の名称が「世宗特別自治市」だったりと、いろいろなところで名前が使われています。
また、世宗大王が登場する作品に欠かせない人物として、この時代に活躍した天才的な科学者・技術者 チャン・ヨンシル(蔣英実)がいます。チャン・ヨンシルは世宗大王に仕えて水時計や自動機械、天文観測器などを次々と発明し、当時の科学技術を大きく発展させました。身分制度が厳しい時代にありながら、その才能を認められて王室の重要なプロジェクトを任されたことで知られています。
《映画》
私は王である! (2013年)演:チュ・ジフン
世宗大王 星を追う者たち (2019年)演:ハン・ソッキュ
王の願い ハングルの始まり (2019年)演:ソン・ガンホ
《ドラマ》
龍の涙 (1996年-1998年) 演:アン・ジェモ
王と妃 (1998年-2000年) 演:ソン・ジェホ
死六臣 (2007年) 演:キム・ジュンシク
大王世宗 (2008年) 演:キム・サンギョン
根の深い木 (2011年) 演:ハン・ソッキュ/ソン・ジュンギ
インス大妃 (2011年-2012年) 演:チョン・ムソン
ポンダンポンダン 王様の恋 (2016年) 演:ユン・ドゥジュン(BEAST)
チャン・ヨンシル 〜朝鮮伝説の科学者〜(2016年) 演:キム・サンギョン
2. 李舜臣(イ・スンシン)将軍
- 史実の功績: 文禄・慶長の役で朝鮮水軍を率い、亀甲船など革新的な戦術で日本軍を撃破。
- 登場ドラマ: 『不滅の李舜臣』
- ドラマでの人物像: 国難に立ち向かう名将としての勇気とリーダーシップが強調され、民衆に寄り添う姿勢がヒーローとして描かれる。
ソウル特別市の光化門広場に建つ『忠武公李舜臣像』(ちゅうぶこうりしゅんしんぞう)は日本でも大ヒットした韓国ドラマ『ザ・キング:永遠の君主』のシーンにたびたび登場したのが印象的。イ・スンシン将軍は、16世紀の朝鮮で国を救ったヒーローとして知られています。文禄・慶長の役の最中、亀甲船(きっこうせん)という特徴的な戦艦を指揮し、圧倒的な勝利を収めました。たとえ戦力が劣っていても絶対にあきらめない強い意志と、仲間を大切にするリーダーシップが彼の最大の魅力です。現在も韓国では国民的英雄として尊敬されており、ソウルの光化門にある銅像など、多くの記念碑がその偉業を讃えています。さらに、彼が残した日記や書簡からは、戦場での勇敢な姿だけでなく、人間味あふれる面も垣間見えるのが興味深いポイント。困難な状況でも粘り強く立ち向かう彼の姿勢は、今もたくさんの人々に勇気を与え続けています。
《映画》
聖雄 李舜臣(1971年、演:キム・ジンギュ)日本未公開
乱中日記(1978年、演:キム・ジンギュ)日本未公開
天軍(朝鮮語版)(2005年、演:パク・チュンフン)
バトル・オーシャン 海上決戦(2014年、演:チェ・ミンシク)
ハンサン -龍の出現-(2022年、演:パク・ヘイル)
ノリャン -死の海-(2023年、演:キム・ユンソク)
《ドラマ》
李舜臣(KBS、1977年、演:キム・ムセン)日本未公開
朝鮮王朝五百年 壬辰倭乱(MBC、1985年、演:キム・ムセン)
林巨正-快刀イム・コッチョン(朝鮮語版)(SBS、1996年、演:チョン・テウ)
不滅の李舜臣(KBS、2005年、演:ユ・スンホ、キム・ミョンミン)
九家の書(MBC、2013年、演:ユ・ドングン)
軍師リュ・ソンリョン 〜ジンビロク〜(KBS、2015年、演:キム・ソックン)
壬辰倭乱1592(KBS、2016年、演:チェ・スジョン)日本未公開
3. 善徳女王(ソンドクヨワン)
- 史実の功績: 新羅初の女王。国力増強や文化振興を推し進めた三国時代の偉大な統治者。
- 登場ドラマ: 『善徳女王』
- ドラマでの人物像: 波乱の宮廷闘争を乗り越え、自らの知略と人望で国を導く女性リーダーとして描かれる。
善徳女王(ソンドクヨワン)は、新羅時代の女性初の王として、古代韓国の歴史の中でも特に注目される存在です。彼女は627年に即位し、その治世で新羅を強化し、政治的な混乱を治めました。特に、彼女が果たした最大の功績は、国の安定と発展をもたらすための知恵を絞り、数々の改革を実行した点です。 また、善徳女王は自らの王位を確立するために、見識と決断力で周囲の有力者たちと対立しながらも、国を思う強い意志を持ち続けました。ドラマ『善徳女王』では、彼女の心の葛藤や素晴らしいリーダーシップがダイナミックに描かれています。彼女の治世は普通の女性ではあり得ないほどの試練が続いたとしても、その姿勢は勇気を与えており、「女性だって強いリーダーになれるんだ!」というメッセージも伝わるものです。このような背景が彼女をより魅力的な人物にし、数世代にわたって人々の心に残ります。
《映画》
《ドラマ》
三国記(1992年、KBS、演:キム・ヘジョン)
薯童謠(2005年、SBS)
善徳女王(2009年、MBC、演:イ・ヨウォン
大王の夢(2012年、KBS、演:パク・チュミ→ホン・ウニ)
4. 明成皇后(ミョンソンファンフ)/閔妃(ミンビ)
- 史実の功績・評価: 朝鮮王朝末期の国母。列強が入り乱れる時代に政治外交を試みるも、暗殺事件により悲劇的な最期を迎える。
- 登場ドラマ: 『明成皇后』など
- ドラマでの人物像: 国を守るために朝廷の実権を握り、国際問題に翻弄される強くも儚いヒロイン。
明成皇后(めいせいこうごう)は、閔妃(ミンビ)とも呼ばれる朝鮮王朝末期の国母です。欧米などの外部勢力が入り乱れる時代に、積極的に国の近代化を図り、政治や外交にも深く関わりました。しかし、周囲との対立や列強の思惑が絡み合うなかで波乱に満ちた生涯を送り、1895年に日本の刺客によって暗殺されてしまいます。その最期は国に大きな衝撃を与え、今でも明成皇后は祖国を守ろうとした強くも悲劇的な女性リーダーとして、多くの人々の心に刻まれています。
閔妃暗殺事件は、朝鮮王朝末期に国母であった明成皇后(閔妃)が1895年10月8日(旧暦では8月20日)の早朝に景福宮で暗殺された事件です。韓国では一般に「乙未事変(ウルミサヘン)」と呼ばれています。
当時、明成皇后は朝鮮の近代化を進めようとし、同時にロシアや他の列強との関係を深めながら日本の影響力を抑えようとしていました。これに危機感を抱いた親日派勢力や日本公使館の関係者が彼女の排除を図り、最終的に日本人の武装勢力が宮中に侵入して明成皇后を殺害したとされています。
この暗殺によって、朝鮮国内では強い反日感情が高まり、国際的にも大きな非難を招きました。一方で、日本政府は公式な関与を否定しつつも、事件後に駐朝日本公使だった三浦梧楼など一部関係者が帰国して裁判を受けるものの、結局無罪となり、事件の真相解明や責任追及が曖昧なまま終わりました。
明成皇后の死は、朝鮮王朝が大韓帝国へと変わり、さらに日本による植民地支配へとつながっていく歴史の流れの中で、象徴的な悲劇として位置づけられています。今でもこの事件は、近代朝鮮の主権をめぐる苦悩を象徴する重大な出来事として語り継がれています。
《映画》
『大院君と閔妃』(1959年、日本未公開)演:ファン・ジョンスン
『清日戦争と女傑閔妃』(1964年、日本未公開)演:チェ・ウニ
『殿下どこへ行かれますか』(1969年、日本未公開)演:ト・グンボン
『景福宮の女性ら』(1971年、日本未公開)演:ユン・ジョンヒ
『三日天下』(1973年、日本未公開)演:ト・グンボン
『韓半島 -HANBANDO-』(2006年)演:カン・スヨン
『炎のように蝶のように』(2009年)演:スエ
《ドラマ》
『閔妃』(MBCドラマ、1974年、日本未公開)演:キム・ヨンエ
『風雲』(KBSドラマ、1982年、日本未公開)演:キム・ヨンエ
『風と雲と雨』(KBS2ドラマ、1989年、日本未公開)演:キム・ジスク
『朝鮮王朝五百年 大院君』(MBCドラマ、1990年、日本未公開)演:キム・ヒエ
『燦爛たる黎明』(KBSドラマ、1996年、日本未公開)演:ハ・ヒラ
『明成皇后』(KBSドラマ、2001年)演:イ・ミヨン/ムン・グニョン(幼少期)/チェ・ミョンギル(晩年期)原作は角田房子「閔妃暗殺―朝鮮王朝末期の国母」。[要出典]
『済衆院』(SBSドラマ、2010年)演:ソ・イスク
『朝鮮ガンマン』(KBSドラマ、2014年)演:チェ・ウンファ
『客主〜商売の神〜』(KBSドラマ、2015年)演:チェ・ジナ
『緑豆の花』(SBSドラマ、2019年)演:キム・ジヒョン
『風と雲と雨』(TV朝鮮ドラマ、2020年)演:パク・ジョンヨン
5. 장금(チャン・グム)/大長今(テジャングム)
- 史実の背景: 史料にわずかに記録がある女性医官。実在の有無が議論されるが有力視される。
- 登場ドラマ: 『宮廷女官チャングムの誓い』
- ドラマでの人物像: 宮廷料理人から王の主治医へと成長する女性のサクセスストーリー。心優しく、探求心旺盛な姿が多くの視聴者に感動を与える。
大長今(テジャングム)は、朝鮮王朝時代に活躍したとされる伝説的な女性医官です。
韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』で一躍有名となり、その卓越した料理の腕前と医術、そして不屈の精神が、多くの視聴者を魅了しました。
男性優位の身分社会の中で自分の才能を信じ、王の主治医にまで上りつめた姿は、女性の可能性を示す象徴的な存在でもあります。
史書にはわずかに記録が残されているとも言われ、実在性をめぐって今なお議論が続いていますが、ドラマを通じて韓国文化や伝統医学への注目を高めるきっかけになりました。
《ドラマ》
宮廷女官チャングムの誓い(MBC、2003年、演:イ・ヨンエ)
天命(KBS、2013年、演:キム・ミギョン)
6. 広開土大王(クァンゲトテワン)
- 史実の功績: 高句麗を最盛期に導き、領土拡大に成功した名君。
- 登場ドラマ: 『広開土太王』
- ドラマでの人物像: 遠大なビジョンを持ち、強力な軍事力と外交力で高句麗を牽引する英雄的王。
広開土大王(クァンゲトデワン)は、高句麗の第19代王で、391年から413年まで在位し、積極的な遠征によって国土を大きく拡大した英雄です。現在の中国東北部から朝鮮半島南部にまで勢力を伸ばし、高句麗の最盛期を築いたことで知られています。その活躍を伝える石碑が、中国吉林省で見つかった「好太王碑」。征服地や功績が克明に刻まれており、“広く土地を開いた大王”という名にふさわしいスケールの大きさを実感させてくれます。韓国の歴史ドラマにも何度も登場し、その壮大な人生が今でも多くの人々を魅了しています。
《映画・ドラマ・舞台》
太王四神記(2007年、MBC、演:ペ・ヨンジュン)
太王四神記(2009年 宝塚歌劇団花組、「-チュシンの星のもとに-」演:真飛聖)
太王四神記Ver.II(2009年 宝塚歌劇団星組、「-新たなる王の旅立ち-」演:柚希礼音)
タカラヅカ レビュー シネマ「太王四神記Ver.II」(2010年)
広開土太王(2011年、KBS、演:イ・テゴン)
7. 太祖(テジョ) /李成桂(イ・ソンゲ)
- 史実の功績: 高麗から朝鮮への王朝交替を成し遂げ、朝鮮王朝を開いた初代王。
- 登場ドラマ: 『六龍が飛ぶ』『鄭道伝』など
- ドラマでの人物像: 新王朝を打ち立てたカリスマ性が描かれる一方、簒奪者としての側面との葛藤も表現される。
李成桂(イ・ソンゲ)は、14世紀末に高麗から新たに朝鮮王朝を開いたカリスマ的な人物です。後に「太祖(テジョ)」と呼ばれ、初代王として国の基礎を整えました。それまでの時代に見られた貴族の腐敗を正し、新しい政治と社会体制を打ち立てるために奮闘したことが知られています。一方で、王位を得るまでの過程で多くの対立や葛藤を抱えたとも言われ、ドラマ作品でもその波乱万丈な生涯が魅力的に描かれています。
《映画》
パイレーツ(2014年、演:イ・デヨン)
《ドラマ》
開国(KBS、1983年、演:イム・ドンジン)
龍の涙(KBS、1996年-1998年、演:キム・ムセン)
辛旽 高麗中興の功臣(2005-2006年、MBC、演:イ・ジヌ)
大風水(2012.10.10~2013.02.07-SBS、演:チ・ジニ)
鄭道伝(2014年、KBS、演:ユ・ドングン)
六龍が飛ぶ(2015年、SBS、演:チョン・ホジン)
私の国(2019年、JTBC、演:キム・ヨンチョル)
太宗イ・バンウォン(2021-2022年、KBS、演:キム・ヨンチョル)
8. 金庾信(キム・ユシン)
- 史実の功績: 新羅の名将で、三国統一の立役者の一人。
- 登場ドラマ: 『善徳女王』
- ドラマでの人物像: 忠誠心と軍事的才能を兼ね備えた武人として、王や仲間に対する義理が際立つ。
金庾信(キム・ユシン)は、新羅の名将として有名な人物で、三国時代における新羅の三国統一に大きく貢献しました。特に百済や高句麗との戦いで見せた卓越した戦略やリーダーシップは、後世にまで語り継がれています。人望が厚く、仲間と共に国を守るために奮闘する姿が、多くの人々の心を掴んで離しません。韓国の歴史ドラマでは、彼の勇猛さや仲間を大切にする熱い人柄が魅力的に描かれており、まさに「最強の将軍」として愛されています。
《映画・ドラマ》
淵蓋蘇文(2006年、演:イ・ジョンス(青年期)、ユン・スンウォン(壮年期))
大王の夢(2012年、演:キム・ユソク、ノ・ヨンハク(少年期))
善徳女王(2009年、演:オム・テウン、イ・ヒョヌ(少年期))
階伯(2011年、演:パク・ソンウン)
三国記(1992年、演:ソ・インソク)
9. 張禧嬪(チャン・ヒビン)
- 史実の評価: 朝鮮王朝・粛宗(スクジョン)の側室。権力を握るも、宮廷闘争の末に悲劇的な最期を迎える。
- 登場ドラマ: 『張禧嬪』『トンイ』『チャン・オクチョン』など
- ドラマでの人物像: 魔性の女、または愛を求めた犠牲者など、多面的に描かれつつも“波乱の人生”は共通している。
張禧嬪(チャン・ヒビン)は、朝鮮王朝時代の粛宗(スクジョン)の側室として大きな権力を握った女性です。もともと才色兼備の宮女でしたが、後宮での激しい権力闘争を勝ち抜き、一時は王妃の座にまで上りつめました。しかし、その強い野心や策略ゆえに多くの敵を作り、最終的には悲劇的な最期を迎えます。その波乱万丈な生涯は、さまざまなドラマの題材となりました。
張禧嬪(1971年、MBC、日本未公開) 演 – ユン・ヨジョン
張禧嬪(1981年、MBC、日本未公開) 演 – イ・ミスク
朝鮮王朝500年 仁顕王后(1988年、MBC、日本未公開) 演 – チョン・イナ
妖婦 張禧嬪(1995年、SBS) 演 – チョン・ソンギョン
張禧嬪[チャン・ヒビン](2002年-2003年、KBS) 演 – キム・ヘス
トンイ(2010年、MBC) 演 – イ・ソヨン
イニョン王妃の男(2012年、tvN) 演 – チェ・ウリ
チャン・オクチョン-張禧嬪-(2013年、SBS) 演 – キム・テヒ
テバク〜運命の瞬間〜(2016年、SBS) 演 – オ・ヨナ
10. 肅宗(スクジョン)
- 史実の功績: 朝鮮王朝19代王。激しい党争や側室問題など、宮廷内外の混乱をまとめ上げた。
- 登場ドラマ: 『トンイ』『チャン・オクチョン』など
- ドラマでの人物像: 愛憎うずまく宮廷の中心に立つ王。権威者である一方、情に揺れる人間味も描かれる。
肅宗(スクジョン)は、朝鮮王朝19代王として17世紀末から18世紀にかけて在位し、宮廷内の権力闘争や側室問題など、波乱に満ちた治世で知られています。特に、正室の仁顕王后(インヒョンワンフ)と側室の張禧嬪(チャン・ヒビン)をめぐる愛憎劇は、後のドラマ作品でもたびたび取り上げられるほど有名です。一方で、内政面では党派間の対立(西人・南人など)を調整し、海外からの影響が強まる時代に王としての存在感を示しました。優柔不断に揺れる姿と国王としての威厳が同居している、非常に人間味ある王として描かれることが多い人物です。
《映画》
宮女(クンニョ)(2007年) – 演:キム・ハクソン
《ドラマ》
トンイ(2010年、MBC) – 演:チ・ジニ
チャン・オクチョン-張禧嬪-(2013年、SBS) – 演:ユ・アイン
テバク〜運命の瞬間〜(2016年、SBS) – 演:チェ・ミンス
ヘチ 王座への道(2019年、SBS) – 演:キム・ガプス
11. 許浚(ホ・ジュン)
- 史実の功績: 名医であり、『東医宝鑑』の編纂者。朝鮮医学の発展に寄与。
- 登場ドラマ: 『ホ・ジュン〜宮廷医官への道〜』
- ドラマでの人物像: 身分の差を乗り越え、ひたすら患者を救おうとする姿勢に感銘を受ける。誠実さと人間性が大きな魅力。
許浚(ホ・ジュン)は、朝鮮王朝時代に活躍した名医で、「東医宝鑑」という医学書を編纂したことで有名です。身分制度が厳しい時代にもかかわらず、貧しい人々に対しても平等に治療を行い、人徳あふれる姿勢を貫いたことで多くの尊敬を集めました。ドラマ『ホ・ジュン』でもその人生が描かれ、逆境にめげず患者を救おうとする姿や深い思いやりが多くの視聴者を感動させています。
《映画》
《ドラマ》
『執念』(1976年、演:イ・スンジェ) 『東医宝鑑』(1990年、演:ソ・インソク) 『ホジュン 宮廷医官への道』(1999年、演:チョン・グァンリョル) 『ホジュン〜伝説の心医〜』(2013年、演:キム・ジュヒョク) 『星から来たあなた』(2013年、演:パク・ヨンギュ) 『魔女宝鑑 〜ホジュン、若き日の恋〜』(2016年、演:ユン・シユン) 『医心伝心〜脈あり!恋あり?〜』(2017年、演:オム・ヒョソプ)
12. 洪吉童(ホン・ギルドン)
- 史実・伝説の背景: 朝鮮王朝時代の義賊として語り継がれる伝説的存在。
- 登場ドラマ: 『快刀ホン・ギルドン』『逆賊-民の英雄 ホン・ギルドン-』
- ドラマでの人物像: 強者を挫き、弱者を助けるヒーローとして描かれる。庶民からの圧倒的な支持が魅力。
洪吉童(ホン・ギルドン)は、朝鮮王朝時代に庶子として生まれながらも、不公平な身分制度と闘い、不正を正して弱い人々を助けた“義賊”として語り継がれています。まるで韓国版ロビン・フッドのような存在で、悪徳役人を懲らしめ、貧しい庶民を支援する痛快なエピソードが数多く残されています。数多くのドラマや小説に登場する大胆不敵なヒーローです。
《映画》
《ドラマ》
「洪吉童 -ホン・ギルトン-」(1998年、SBS、演:キム・ソックン) 「快刀ホン・ギルドン」(2008年、KBS、演:カン・ジファン) 「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」(2017年、MBC、演:ユン・ギュンサン)
13. 奇皇后(キ・ファンフ)/(スンニャン)
- 史実の功績: 元(モンゴル帝国)の皇后となった高麗出身の女性。普顕淑聖皇后。北元皇帝アユルシリダラの母。
- 登場ドラマ: 『奇皇后』
- ドラマでの人物像: 故国・高麗と新天地・元の間で揺れ動きつつ、壮大な権力争いを生き抜く強い女性として描写。
奇皇后(キ・ファンフ)は、高麗出身ながら元(モンゴル帝国)の皇后となった伝説的な女性です。はじめは貢女として連行されましたが、皇帝の寵愛を得て宮廷の中枢にのぼりつめました。一方で祖国・高麗への思いを捨てきれず、国際情勢の波に翻弄されながらも懸命に生き抜いたと伝えられています。プライドの高いモンゴル貴族たちの中で奮闘しながらも、女性としての強さと繊細さをあわせ持つ姿が数々の逸話として残されています。韓国ドラマ『奇皇后』では、その波乱に満ちた人生が壮大に描かれており、力強くも切ない彼女の物語が多くの視聴者を魅了しました。
《映画》
《ドラマ》
辛旽 高麗中興の功臣(2005年、演:キム・ヘリ)
奇皇后 〜ふたつの愛 涙の誓い〜(2013年、演:ハ・ジウォン)
14. 眞興王(チヌンワン)
- 史実の功績: 真興王(しんこうおう)は新羅を大いに発展させ、領土拡張や文化事業に尽力した王。
- 登場ドラマ: 『花郎(ファラン)』
- ドラマでの人物像: 若き王として花郎たちとの絆を深めながら、自らも成長していく姿が印象的。
真興王(しんこうおう)は、新羅の24代王として6世紀に在位し、領土の大幅な拡大と国家体制の整備に力を注いだ人物です。彼の治世は新羅が大きく成長した黄金期とされており、周辺国との戦いや同盟を通じて、朝鮮半島南部における新羅の地位を確立しました。また、若き精鋭たちを育成する「花郎(ファラン)」という組織の成立にも深く関わり、後に新羅の文化や軍事力の発展へ大きな影響をもたらしました。韓国ドラマ『花郎』などでも描かれているように、頼もしくエネルギッシュな王というイメージが持たれています。
《映画》
《ドラマ》
善徳女王(2009年、MBC)演:イ・スンジェ
花郎(2016年、KBS)演:パク・ヒョンシク(ZE:A)
月が浮かぶ川(2021年、KBS)演:キム・スンス
15. 崔瑩(チェ・ヨン)
- 史実の功績: 高麗末期の名将。倭寇退治や内乱鎮圧などで活躍。
- 登場ドラマ: 『シンイ -信義-』(Faith)
- ドラマでの人物像: 義を重んじる武将として、主人公を導く存在。剣技や戦略面でも頼もしいリーダー。
崔瑩(チェ・ヨン)は、高麗末期を代表する名将で、倭寇の撃退や内乱の鎮圧など多くの軍功を挙げた人物です。誠実で勇敢な性格と、国を想う強い忠誠心によって、民衆からも広く尊敬を集めました。しかし、新たに台頭した朝鮮王朝との権力争いに巻き込まれ、悲劇的な最期を迎えます。ドラマ『シンイ -信義-』などでも、その義を重んじる姿が描かれています。
《映画》
《ドラマ》
シンイ -信義-(2012年 演:イ・ミンホ)
16. 李芳遠(イ・バンウォン)/太宗(テジョン)
- 史実の功績: 朝鮮王朝2代王。父・太祖(イ・ソンゲ)の建国を支え、後に自ら即位。
- 登場ドラマ: 『六龍が飛ぶ』『私の国』など
- ドラマでの人物像: 王座を狙う野心家としての姿と、国を強くするための合理主義者としての側面が同時に描かれる。
李芳遠(イ・バンウォン)は、朝鮮王朝の初代王・太祖イ・ソンゲの息子で、後に太宗(テジョン)として即位しました。壮絶な権力争いを勝ち抜き、新王朝の体制を固めた立役者です。その冷徹な決断力と政略家としての才能が注目される一方、『六龍が飛ぶ』などのドラマでは、父子や兄弟との確執を通じて複雑な人間味も描かれています。韓国史を語る上で欠かせない重要人物です。
《映画》
私は王である!(朝鮮語版)(2012年、配役: パク・ヨンギュ)
純粋の時代(朝鮮語版)(2015年、配役: チャン・ヒョク)
《ドラマ》
世宗大王(KBS、1973年、日本未公開、配役: ナム・ソンウ)
黄喜政丞(KBS、1976年、日本未公開、配役: ナム・ソンウ)
臙脂(MBC、1978年、日本未公開、配役: チョン・ウク)
開国(KBS、1983年、配役: イム・ヒョクチュ)
朝鮮王朝五百年 太宗大王 -朝鮮王朝の礎-(MBC、1983年、配役: イ・ジョンギル)
朝鮮王朝五百年 根の深い木(MBC、1983年、日本未公開、配役: イ・ジョンギル)
龍の涙(KBS、1996-98年、配役: ユ・ドングン)
大王世宗(KBS、2008年、配役: キム・ヨンチョル)
根の深い木(SBS、2011年、配役: ペク・ユンシク)
大風水(SBS、2012年、配役: チェ・テジュン)
鄭道伝 チョン・ドジョン(KBS、2014年、配役: アン・ジェモ)
イニョプの道(JTBC、2014-15年、配役: アン・ネサン)
六龍が飛ぶ(SBS、2015-16年、配役: ユ・アイン)
チャン・ヨンシル 〜朝鮮伝説の科学者〜(KBS、2016年、配役: キム・ヨンチョル)
私の国 (JTBC、2019年、配役: チャン・ヒョク)
太宗イ・バンウォン (KBS、2021-22年、配役: チュ・サンウク)
17. 鄭道伝(チョン・ドジョン)
- 史実の功績: 朝鮮王朝建国の立役者。新王朝の政治・制度を築く理論家。
- 登場ドラマ: 『鄭道伝』
- ドラマでの人物像: 儒学的理想を掲げ、太祖と共に建国を進める策士。やがて権力闘争の波に飲み込まれる悲劇も印象深い。
鄭道伝(チョン・ドジョン)は、朝鮮王朝を建国した太祖イ・ソンゲの片腕として活躍した儒学者・政治家です。新たな国家の理念や政治制度を設計し、“朝鮮”という国の礎を築いたと言われています。理想の儒教国家を追い求める一方で、王朝の実権をめぐる争いに巻き込まれ、悲劇的な最期を迎えました。ドラマ『鄭道伝』などでも、その改革者としての姿と波乱に満ちた人生が多くの視聴者を魅了しています。
《映画》
《ドラマ》
開国(1983年、KBS)演:キム・フンギ
龍の涙(1996年、KBS)演:キム・フンギ
鄭道伝(2014年、KBS)演:チョ・ジェヒョン
六龍が飛ぶ(2015年-2016年、SBS)演:キム・ミョンミン
太宗イ・バンウォン(2021年-2022年、KBS)演:イ・グァンギ
18. 荘献世子/思悼世子(サドセジャ)
- 史実の出来事: 英祖(ヨンジョ)の息子。米櫃事件で非業の死を遂げた悲劇の王子。
- 登場ドラマ: 『イ・サン』『秘密の扉』
- ドラマでの人物像: 父王との確執や精神的苦悩に苦しみ、周囲の誤解のなかで悲惨な運命を迎える姿が描かれる。
思悼世子(サドセジャ)(あるいは荘献世子(チャンホンセジャ))は朝鮮王朝21代王・英祖(ヨンジョ)の息子で、本名は李愃(イ・ソン)。22代国王・正祖(=イ・サン)の父親です。世子の身ながら英祖の命によって8日間もの間米櫃に閉じ込められて非業の死を遂げた王子です。のちに「米櫃事件」と呼ばれるこの悲劇の背景には父との深刻な確執や精神病説、貞純王后(英祖の妃)による陰謀説など、いくつもの説が語られていますが、真相は謎のまま。ドラマ『イ・サン』や『秘密の扉』では、その壮絶な運命と王室内の葛藤が緊迫感をもって描かれています。
《映画》
『永遠なる帝国』(1995年)
『美人図』(2008年)
『王の涙-イ・サンの決断-(原題:逆鱗) 』 (2014年)、演:キム・ジュンファン
『王の運命 -歴史を変えた八日間-(原題:思悼)』(2015年)、演:ユ・アイン
《ドラマ》
『天よ、天よ』(1988年/KBS、日本未公開)、演:チョン・ボソク
『朝鮮王朝五百年 閑中録』(1988年〜1989年/MBC、日本未公開)、演:チェ・スジョン
『王道』(1991年/KBS)
『大王の道』(1998年/MBC)、演:イム・ホ
『商道』(2001年〜2002年/MBC)
『イ・サン』(2007年〜2008年/MBC)、演:イ・チャンフン
『正祖暗殺ミステリー8日』(2007年/CGV)、演:チョ・ハンジュン
『風の絵師』(2008年/SBS)、演:キム・ウォンソク
『トキメキ☆成均館スキャンダル』(2010年/KBS)
『ペク・ドンス』(2011年/SBS)、演:オ・マンソク
『秘密の扉』(2014年/SBS)、演:イ・ジェフン
『赤い月』(2015年/KBS2)、演:キム・デミョン
『仮面の王 イ・ソン』(2017年/MBC)、演:ユ・スンホ
『袖先赤いクットン』(2021年/MBC)、演:ト・サンウ
19. 申師任堂(シン・サイムダン)
- 史実の評価: 朝鮮中期の女性画家・書家。学者・李珥(イ・イ)の母としても名高い。
- 登場ドラマ: 『師任堂(サイムダン)、色の日記』
- ドラマでの人物像: 芸術的才能にあふれながらも家庭を大切にする“良妻賢母”かつ才女として理想的に描かれる。
申師任堂(シン・サイムダン)は、朝鮮中期の女性画家・書家として名高く、儒学者・李珥(イ・イ)の母としても知られる存在です。優れた芸術的才能と、子どもたちを教育する賢母ぶりから“賢母良妻の象徴”と呼ばれました。ドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』などでも描かれ、家庭を支えながら芸術家としても活躍する姿が多くの人々の心を捉えています。
《映画》
《ドラマ》
師任堂、色の日記(2017年、SBS)演:イ・ヨンエ
20. 哲宗(チョルジョン)
- 史実の評価: 朝鮮王朝25代王。権力が弱体化した時期に在位し、周囲の思惑に苦しんだ。
- 登場ドラマ: 『哲仁王后(Mr. Queen)』
- ドラマでの人物像: お調子者の印象と内面の苦悩が重層的に描かれ、時にはコミカルに表現される。
哲宗(チョルジョン)は、19世紀中頃に在位した朝鮮王朝第25代王です。幼少期を遠方の地で過ごし、有力貴族の後押しを受けて王位に就きましたが、政治的には大きな制約を受けていたとされます。韓国ドラマでは飄々としたコミカルな面が描かれる一方、その内面には苦悩や孤独を抱えていた姿も表現され、多面的な人物像として注目を集めています。
人気の人物が登場するドラマに共通する魅力
これらの人物が登場するドラマには、次のような共通点があります。
- 波乱万丈の人生ドラマ
宮廷の権力闘争や戦乱、愛憎関係など、スケールの大きな人間模様が繰り広げられる。 - 時代背景を感じさせる映像美
衣装やセット、音楽に至るまで制作陣のこだわりが強く、歴史の世界観に没入できる。 - 史実と創作のバランス
史実を踏まえつつも、エンターテインメント性を高める脚色がプラスされ、観やすいドラマに仕上がっている。
まとめ
韓国時代劇ドラマは、華麗な映像や迫力ある演出だけでなく、深い人間ドラマと実在の歴史に基づく重厚感が特徴です。同じ人物が異なる作品でまったく別の側面を見せることもあり、その比較によってドラマの新たな魅力が浮かび上がります。
歴史上の偉人がどのように描かれているかを知ることで、よりドラマの世界観に入り込めるでしょう。ドラマをきっかけに史実について調べてみるのもおすすめです。ぜひ気になる作品や登場人物を見つけて、奥深い韓国史の世界を旅してみてください。